人生100年時代 前回に続き「老後資金2000万円問題」を考えてみました。
昨日、FP(ファイナンシャルプランナー)の勉強会があり、この件に関して多くのFP仲間がコメントしていました。
- このニュースが話題になってから、相談件数が増えた。
- 特に若い女性(20代)や若いカップル(20代から30代)。
- 不思議と男性より女性が多い。女性の方がしっかりしている!?
- 皆、「年金だけでは無理だ」というのはわかっているけど、具体的に数字で報道されると、「ではどうしたらいいの?」と不安にかられ、資産形成の為の行動を始めているらしい。
- ライフプランを考えるいいきっかけになったのでは?
- よくわからない人は気にしていない様子。
- 報告書の中身が正しく伝わっていないのでは?
- などなど
さて、「報告書の中身が正しく伝わっていないのでは?」と言う意見に対して、私も同感でしたので、ここで少し詳しくレポートさせて頂きます。
報告書が伝えたかったこととは?
報告書を読んでみました。A4 56ページ。
「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」」
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
なかなか分かりやすくまとまっているなぁ・・・と言うのが率直な感想。当たり前か!優秀な官僚たちが作成しているのだから・・・。
この報告書で一番伝えたかったことは、次の一文に集約されると自分は思う。
今後のライフプラン・マネープランを、遠い未来の話ではなく今現在において必要なこと、「自分ごと」として捉え、考えられるかが重要であり、これは早ければ早いほど望ましい。
その他、この報告書で伝えたかったことは、「終わりに」に簡素にまとめてある。
かいつまんで重要なところを紹介すると・・・
1. 日本人は長生きするようになった。
2. さらに高齢者は昔に比べて格段に元気で、社会で活躍し続けている。
3. それは社会全体にとって望ましいこと。
4. 寿命が延び活動し続けるという事は、それだけお金がかかることを意味する。
5. 余暇を楽しむなど心豊かな老後を楽しむには、健康と同時にお金も重要である。
6. 長寿化に応じて資産寿命を延ばすことが重要。
7. ライフステージ別に知っておくことが望ましい。
8. 特に2025年は団塊世代が75歳を迎える年とされる。
9. 75歳を超えるあたりから認知症有病率は大きく上昇するとされている。
10. 今から準備を始めることが重要。
11. その先2030年ごろには団塊世代ジュニアが60代となり、資産の取り崩し期を迎える。
12. これらを見据えて、今何が出来るか、何をすべきか。
13. 標準なモデルが空洞化しつつある以上、唯一な正解は存在せず、各人の置かれた状況やライフプランによってとるべき行動が変わってくる。
14. 今後のライフプラン・マネープランを、遠い未来の話ではなく今現在において必要なこと、「自分ごと」として捉え、考えられるかが重要であり、これは早ければ早いほど望ましい。
さて、問題になった「老後資金2000万円」の発端は結局要約するとこうらしい↓
「夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職夫婦のケースを総務省の家計調査から計算した結果、月々の年金などの収入から生活費を差し引くと毎月5万円の不足(赤字)が生じる。今後20~30年で1300万円~2000万円の資金が必要になるというものだった。」
この辺の記載は以下の通り。(報告書P16とP10)↓
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
はこちら↓
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
では、今後どうしたらいいのかか?
今後我々はどうすべきか?については、また後日レポートします。
報告書の概要(目次)
今日の最後にこの報告書の目次を抜粋するので、ご興味のある方は是非一読を!!
特に「3.1個々人にとっての資産の形成・管理での心構え」が一番大切だと思います。
1 現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化)
1.1 人口動態等
1.2 収入・支出の状況
1.3 金融資産の保有状況
1.4 金融環境に対する意識
2 基本的な視点及び考え方
2.1 長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要
2.2 ライフスタイル等の多様化により個々人のニーズは様々
2.3 公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための行動
2.4 認知・判断能力の低下は誰にでも起こりうる
3 考えられる対応
3.1 個々人にとっての資産の形成・管理での心構え
3.2 金融サービスのあり方
3.3 環境整備
3.3.1 資産形成・資産承継制度の充実
3.3.2 金融リテラシーの向上
3.3.3 アドバイザーの充実
3.3.4 高齢顧客保護のあり方
4 終わりに